【2013年5月31日デイリースポーツ紙面より】打者として出場してきた「二刀流」大谷翔平選手(日本ハム)が5月23日のヤクルトとの交流戦で投手デビューした。勝ち負けは付かなかったが、先発で5回を投げ2失点だから合格点をもらえ、いよいよ二刀流挑戦が本格化してくる。野球評論家の多くが「投手か打者のどちらかに早く決めた方が本人のため」と言っているが、私は本人が納得するまでやり通す方がいいと思っている。高校から直接、米野球を目指していたぐらいだし1、2年の試行錯誤は覚悟の上だろう。それはさて置き、大谷投手はヤクルト戦で球速157キロの球を投げたそうだ。直球の6割以上が150キロを超えたというから、速球投手としての魅力は十分ある。▽江夏、江川らは球の速さは速く走ったり、遠くへ投げ、高く跳ぼうとするのは、いわばスポーツの原点みたいなもの。だから野球で言えば、速い球を投げ、遠くへ飛ばす選手に注目が集まるのは自然の成り行きであろう。そうしたファンの関心に応えて、いまやほとんどの球場に投手の球速が表示され、テレビでも見られる。ちょっと前までは、スカウトが投手発掘の手段として「スピードガン」を使って計測していただけだ。当然のように、かつて速球王と言われた投手たちのスピードのデータは存在しないが、「江夏や江川はどのぐらいのスピードボールを投げていたか」をあらゆる手段を使って科学的な検証が行われている。▽伝説の沢村は159キロある大学の研究によると、伝説の速球投手、巨人の沢村栄治氏は残る映像から分析した結果、159・4キロの直球を投げていたと推測された。400勝、4000奪三振の金田正一氏は154・3キロ、怪童と言われた東映の尾崎行雄氏は159・2キロ、そして江夏豊氏は158・8キロとなっていた。高めの球がめっぽう速かった阪急の山口高志氏、江川卓氏の栃木・作新学院高時代は「おそらく160キロは超えていた」と証言する関係者は多い。▽江夏氏は「森安が一番速い」長嶋茂雄氏と立教大で同期だった杉浦忠氏はサイドハンドからすごい球を投げ、左腕の梶本隆夫氏は切れのいい快速球だった。野茂英雄氏、伊良部秀輝氏、松坂大輔投手はいずれも155キロを優に超える速球を投げた。これは江夏氏から聞いたことだが、「一番速
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